ドリー夢小説
「お待たせっ」
「・・・・」
雲雀は一瞬、言葉を失った。は黒が布地の浴衣にピンクの帯をしめて
髪をまとめ、桜をモチーフとした簪をさしていた。
いつももとは全く違う可愛らく、そして大人っぽい色気がある姿に
見惚れてしまったいた。制服の時とはここまで感じが違うのか、と少し不信にも思った。
「早く行くよ」
「えっ?うんっ」
少し赤くなった顔を隠すようにそむけると、自分以外の男に見せたくないのか、
の手首をひっぱり足早に人が賑わう、夜店の方へと向かっていった。

こうなったのも、つい数日前のお話。
のまわりの友達はほとんど皆、彼氏と夏祭りに行くと話していて
それを聞いたはそれに影響され『恋人同士でお祭りに行き、花火を見る』
というシチュエーションに酷く憧れを抱いてしまい
雲雀がいる応接室へと向かった。
「お祭りいきたい」
「行ってくれば?」
「違うっ恭弥と行きたいの」
「風紀委員の仕事があるんだけど」
「終わってからでもいいから!ねっ?」
この時の為に用意していた必殺・上目遣い攻撃をお見舞いさせてやった。
すると案の定、には弱い雲雀は小さくため息をつき目を瞑った後
しぶしぶ承諾した。
「我侭娘・・・七時に集合だから。遅れたら噛み殺すよ」
「うんっ!!」
そして今に至る。
二人は賑わう人混みの中を近い距離で歩いていった。
しかし、もともと群れるのを嫌悪する雲雀はかなり不機嫌な表情だった。
だが隣にいるはそんな雲雀に気づくことなく好奇心旺盛に
辺りを見回していた。
「ちょっと待ってて」
そして何かを見つけるやいなや、そこへ小走りでかけっていき
再び戻ってきた。その手には大きい綿飴が握られていた。
そしてそれを美味しそうに頬張った。
「・・・どれ」
雲雀は綿飴を持っていた手ごと自分の顔に近づけ、頬張った。
が、すぐに顔を歪ませた。
「・・・甘すぎ」
「だから美味しいんだよ」
にこっと笑うと、また何かを発見したらしくどこかへ走っていっしまった。
は今度はチョコバナナを見つけたらしく早速買おうとする。
雲雀に食べるか、聞こうとして後ろを振り向いた。
だが、そこには居るはずの雲雀はいなく賑わう人々によりかき消されていた。
もうすでに迷子状態に陥っていたのだ。
「うそっ・・・恭弥どこ?」
どくどくと心臓の音がだんだんと早まっていく音が鮮明に聞こえた。
―――はぐれたんだ。
そう直感した途端、早く探し出して合流しなきゃという気持ちも湧き上がり
駆け出そうとした瞬間、グキッという生々しい音と共にその場に崩れ落ちてしまった。
どうやら、普段履きなれていない下駄のせいで足を挫いてしまたようだ。
「彼女、だいじょーぶ?」
すると、その瞬間を狙ったかのようにの周りにはいかにも胡散臭い
不良の高校生が数人で囲んだ。
「おっ、めっちゃ可愛いじゃん」
「俺たちと遊ばない?」
さっきまで雲雀に握られていた手首を今度は見知らぬ男に触れられた。
ぞっと虫唾が走るうな感覚を覚えると、必死に抵抗した。
「やめてくださいっ・・・!」
目尻に涙が浮かんでくるのがはっきりとわかった。
「早く失せねぇと張り倒すぞ」
「そのへんでやめとけって」
そんな危機的状況を救ったのは、雲雀とはまた違う低い声の持ち主、
後輩の獄寺隼人と山本武だった。
高校生は二人を見ると血相を変え、急いで謝ると猛スピードで逃げていった。
「大丈夫っスか?!さん」
去っていったのを確認すると、地面に座り込んでいたに慌てて
手を差し伸べた。
二人とはもともと顔見知りで時々話してたりもしていた。
はほっと胸をなでおろすとその手を取った。
「うん・・・ありがと」
「ひでぇ事するよな」
山本は高校生達が去っていった方角の方を見つめながらポツリと
呟いた。
「あんまり近づかないでくれる?」
すると、どこからか突然声が聞こえたかと思うと目の前に雲雀が現れた。
どうやら先ほどの高校生達の行為を聞きつけ飛んできたようだ。
「それ僕のだから」
「恭弥ッ・・・」
獄寺と山本の事を鋭く睨むとをお姫様抱っこで軽々持ち上げた。
その行動にはかなり赤面をした。
「ちょっ・・・」
そして何を言わず雲雀はどこかへ歩きだした。
抱えられたままのはだんだんと遠ざかっていく二人に大きく手を振り
感謝の言葉をもう一度、叫んだ。
二人は軽く頭を下げると人混みに消えていった。
「着いたよ」
どさりと降ろされたのは誰もいない茂みの中だった。
「空、見てみなよ」
訳がわからないまま言うとおりに暗い空を見上げると
そこには、涙も吹き飛ばすような満点の星空に花火が輝いていた。
「きれー・・・」
うまく言葉で表現できないほどの感動が押し寄せた。
「もう、勝手にいなくないでよね」
雲雀は打ちあがる花火を眺めながら言った。
「・・・うんっ」
泣き虫だし、自己中だし
我侭で喜怒哀楽が激しい君だけど
そんなところも

(もう二度と、離れないように)20060716